archivist_kyoto の雑記帳

ネタを考えるための雑記帳です。 NO HUG NO LIFE

日本図書館研究会大会シンポジウムでの発言要旨

2016年度日本図書館研究会研究大会のシンポジウムで振られてしまってしゃべったこと*1

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きた。近い


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「右翼席に座っているので、あえて【保守的】に3点申し上げます。

ひとつは、

連携サービス・複合施設と考えた時に、コンテンツでの連携、ということがあらためて図書館側からも提起されて良いように存じました。

施設・組織・機能の連携の課題と実践は、常世田報告でも、塩尻の機能融合や岐阜での意識改革、吹田の未成年対象サービスの一体化というところで論じられました。
しかし、コンテンツという観点があまり感じられませんでした。

従来型のコンテンツ連携ということではMLA連携があります。この点、常世田報告において、生涯学習系の一部ということで簡単に触れられ、他報告でも力点はコンテンツにはあまりなかったと存じます。しかし、近代以降の「図書館」と呼ばれている施設において蓄積された資料の多様性を念頭に置くとき、その程度の位置づけでよいのか、という疑問があります。

また、将来に向かっても、NDLサーチがMLAを含みこんだジャパンサーチへの展開を見据えているとき、図書資料だけじゃないデジタル・現物資料を含みこんだ多様なコンテンツを自在に扱える、という連携の方向はもっと強調されてもよいと考えます。

これまで、県立レベルでも山口・新潟、京都などをはじめとして、多くの複合施設・複合機能の経験があります。大学図書館ももちろんたくさんの経験があります。
岐阜のカニの話のような地域の活動も、他者が活用できるように保存・登録すれば、コンテンツとしてとらえられると考えます。

しかし、情報を取り扱い、それを市民社会に提供するところから出発しているはずの「図書館」を軸に考える以上、コンテンツ面での連携・融合をどう鍛えなおすか、が改めて重要と考えます。

ふたつめは、

コンテンツの話とも連動しながらですが、図書館の機能はなにか、ということです。

常世田報告では複合相手の機能も含め、それぞれ本来の業務があるために、複合効果が薄くならざる得ないのでは、というまとめでした。

しかし、えんぱーくの報告では、価値観の体系を壊す作業し、街を考えて施設の機能を組みなおし、いままでにないサービスを作った、ということでした。
機能を見直し、融合して効果を出した、ということだと考えます。

この点は、お聞きする限りでは興味深いズレがあるように存じました。壇上のみなさんで、2017年においてのライブラリの本質的な機能とは、を論じていただければと存じます。

 みっつめは、

やっぱり評価の話だろうと存じます。端的にいうと来館者数を増やす、という一種の呪縛からの自由の問題です。

常世田報告で、ひとよせのための複合化という状況が指摘されながらも、伊東報告、吉成報告、では来館者増のための工夫という観点が前提にされていたと思います。竹林報告はすこし違った角度だったかもしれませんが。

ただ、このままでは複合化効果をより発現させるための、常世田報告での重要な指摘、政策的な厳密性、長期的な政策の存在、組織の意識改革、具体的な工夫の積み重ねが、十全に発揮されないと存じます。

創立者や改革者がいるうちはまだいいかもですが、指標がそうである以上、来館者数を稼ぐための事業に走ることになりますし、複合施設はより走りやすい条件がととのっているだけに、そこに落ち込むことにならないかと危惧します。

来館者数も大事にしながらも、複合施設は複合施設らしい、単独施設は単独施設らしい、来館者数以外の指標を本当に本気で検討してもよいのではないでしょうか。

 

報告者のみなさまから刺激をいただいて、ぱっと考えたことをまず申しました。
ありがとうございました。」

*1:当日休憩時間に予告をいただいたので、最初にふられるつもりで考えてたもの。出番が最後に来たので(かつ終了時間を守ろうとそれなりに努力した)、実際にはいろいろ修正して話しています。